流行りを一足早くAWAユーザーへお贈りする「HAYAMIMI」プレイリスト。今回は元MTV JAPANプロデューサーであり、現在では、WEBメディアの編集長であり音楽ライターでもある「尾田和実」氏によるセレクト。ご本人からのコメントともに、曲解説と一緒にお楽しみください!
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【ご本人コメント】
テーマは「真夜中に聴くべき最新ソング」。
真夜中は音楽が体に染み込む浸透率が高い時間な気がします。
この時間帯に新しめの音を聞くことで、自分の中のサウンドトレンドをUPDATEしています。
そうでなくても、City Popであったり、FUSIONやFUNKだったりと、《夜》が想起されるアレンジの曲が最近は多いですよね。
そんなわけでメロウでリラックスできる最新ナンバーを集めてみました。前半しっとり〜中盤ジャージーに〜後半はややアッパーになってゆきます。
<1> BLOOD. / Kendrick Lamar
ケンドリック・ラマーの寓話的な一人語りで始まるオープニング曲。盲目の女性が何かを探しているので、手伝おうとすると、彼女が探しているのはなんと「あなたの命」だという。最後の銃声が意味するものは?
<2> Dear Theodosia(Reprize) / Chance The Rapper & Francis and The Lights
チャンスのハスキーな声がゴスペルのように染み渡ります。アメリカ建国の歴史をヒップホップで綴っていくミュージカル「ハミルトン」のサウンドトラック『THE HAMILTON MIXTAPE』より。2016年のトニー賞、グラミー賞、ピューリッツァー賞も受賞した金字塔とも言える作品で、アッシャー、チャンス・ザ・ラッパー、ジョン・レジェンド、クイーン・ラティファなど豪華なメンツが参加しています。
<3> 911/Mr.Lonely / Tyler, The Creator
盟友フランク・オーシャンを客演に迎えたメローなナンバー。タイトルといい、曲調といい、今までにないタイラー・ザ・クリエイターのシリアスな側面を垣間見ることができます。間も無くリリースされるアルバム『Flower Boy』も期待。
<4>Some / Steve Lacy
メロウR&Bバンド“ジ・インターネット(The Internet)”の最年少メンバーであるスティーブ・レイシーのソロ作。ギタリストでありながら、弱冠18歳にして全ての演奏、歌、プロデュースまでこなす多彩な才能は、フランク・オーシャンの傑作アルバム『blonde』にiPhoneだけで作ったトラックを提供するほど。この曲でも、実に渋くてメローなファンクネスを聴かせてくれます。
<5> Pink + White / Frank Ocean
そのフランク・オーシャンの傑作アルバム『blonde』の中から心地良いそよ風のようなサウンドの「Pink + White」を。ファレル・ウィリアムスのプロデュース、後半にビヨンセのコーラスが出てきますが、これみよがしに「ファレル」「ビヨンセ」が参加した感じでないところに、かえって現在のフランク・オーシャンの貫禄というか勢いを感じます。
<6>Drew Barrymore / SZA
ケンドリック・ラマーも所属するTDE(Top Dawg Entertainment)の女性R&BシンガーSZA。ストーリーを感じさせる歌いっぷりがじっくりと染み渡ります。タイトルのドリュー・バリモアは女優さんですね。彼女が主演した1992年の映画”Poison Ivy”と1999年の映画”Never Been Kissed”から影響を受けた作品とのこと。
<7>Smile More / Syd
前述のスティーブ・レイシーをはじめ、次々と注目のソロ作品を発表されていることで話題のジ・インターネットの中心人物でもあるシンガーのSyd。どこまでも都会的なたたずまいの声と、ジャジーなプロダクションが、ジ・インターネットとはまた違った魅力を見せてくれています。個人的にはエリカ・バドゥを思い出しました。
<8> Lone Wolf and Cub / Thundercat
フライング・ロータス、ケンドリック・ラマーをはじめとした数々の作品で活躍する天才ベーシスト、サンダーキャットのソロ。ひたすらドリーミー。本来は脇役的な楽器のベースでこれだけの世界観を作れるところがすごい。ジャコ・パストリアス並みと言ったら言い過ぎ?
<9> Move Love(feat.KING)/ KING&Robert Glasper
ニュージャズの鬼才ロバート・グラスパーが女性三人組KINGをフィーチャー。組み合わせも音も夢のような出来。間違いなく最先端の組み合わせなんだけど、すごくエバーグリーンで王道感のあるサウンドであるところも魅力的。
<10> Lust For Life feat.The Weekend / Lana Del Rey
なかなか日本に来てくれない歌姫、ラナ・デル・レイ流のフィルスペクター「ウォール・オブ・サウンド」。相変わらずキュートすぎるボイス。彼女の曲は比較的暗くて死んでしまいそうな儚さを抱えたものが多いのですが(笑)、こちらは懐かしさのあるスウィートポップで生きる希望を感じさせるタイトル&曲調なところが新境地かも。
<11> Circle Of Friendz(feat.Brandon Markell Holmes) / Gorillaz
ブラーのデーモン・アルバーンと、コミック・アーティストのジェイミー・ヒューレットによるプロジェクト、ゴリラズ(Gorillaz)の5枚目のニューアルバム「Humanz」のラスト曲。「Humanz」「Friendz」と最後がZなのはGorillazにあわせて? Brandon Markell Holmesの力強くソウルフルな歌声が素晴らしい。
<12> 2nd Time Around / Tuxedo
大御所ホール&オーツのジョン・オーツも一目置く見事なブルーアイドソウル(青い目のソウル=つまり白人によるソウル)をひたすらクリエイトし続けるメイヤー・ホーソーンが、プロデューサーのジェイク・ワンと結成したユニットがTuxedo。メイヤー自身のソロ作品よりもさらに隙のないアッパーで完全無欠なダンス&ソウルナンバーとなっている。
<13> UGH! / The 1975
小憎らしいぐらいスマートで洗練されたアレンジのThe 1975は、マンチェスター出身のインディーロックバンド。しかし、もはやインディーという感じは皆無ですね。彼らがリスペクトするレディオヘッドが3枚目の『OK コンピューター』で大きな飛躍を遂げたことを意識してか、来るべきサード・アルバム『Music For Cars』は、より一層の傑作とするべく鋭意制作中とのこと。
<14> Pay the Man / Forster The People
ロサンゼルスを拠点に活動するフォスター・ザ・ピープル(Forster The People)、3枚目のニューアルバム『Sacred Hearts Club』からの先行ナンバー。無性に勇気が湧いてくるサウンド。権力に屈することの虚しさを歌っている(ように聞こえる)。
<15> Tuttifrutti / Pheonix
これでもかとばかりに「夏とイタリアン・ディスコ」な曲調。テロに脅かされたパリの厳しい状況だからこそ、こんな生命力に溢れたサウンドを発信したかっただろうな、というフェニックスの気概に感無量。
<16> Call the police / LCD Soundsystem
NY出身のジェームス・マーフィーのソロバンド「LCD Soundsystem」。ダンス、パンク、インディー、ポストパンクリバイバル etcといったあらゆる音楽的要素を内包した形容しがたいサウンドが特徴。後半に出てくるコーラスが昔のデビッド・ボウイっぽくて、マーフィーなりのトリビュートに感じられる。
<17> Everything Now/ Arcade Fire
もはや大御所といっていいカナダのインディーロックバンドArcade Fireがこれまた大御所のDaft PunkのThomas Bangalterがプロデューサーとして参加した新曲を発表。高らかに歌い上げるサウンドは確実に今のサウンドの息吹を感じます。ここ最近のトレンドと感じる癖のないリズムプロダクションがトーマスの仕事なのかな?
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