1987年の初夏、1本の謎の映画が アーノルド・シュワルツェネッガー最新作…として公開されました。
『プレデター』です。
ジム・トーマス と ジョン・トーマスの兄弟によって 1985年に書かれた『ハンター』という脚本は
20世紀FOX に買われ、製作のジョエル・シルバーの手に渡りました。
シルバーは、チームパートナーとして長く一緒にやってきた ローレンス・ゴードンを共同製作者に迎え
伝奇ミステリー映画『ノーマッズ』(85年) を撮った 《新鋭》ジョン・マクティアナンを監督に抜擢しました。
後に『ダイ・ハード』を監督して大ヒットさせる逸材です。
内容は、要人救出に向かった特殊部隊チームが 姿を見せない《ハンター = プレデター》によって 次々に命を落としていく……
大事なキャラクターデザインは、紆余曲折します。
出演者のビル・デュークは こう語ってます。
「原案では、全身が赤くて 一つ目だった。」
最初に造形担当になったのは、ボス・フィルム・スタジオのスティーブ・ジョンソン …『ゴースト・バスターズ』(84年)
ジョン・マクティアナン監督のデザインで作ったところ
どうも 気に入らない……
試しに雇ったスーツアクターの ジャン=クロードヴァン・ダムに着せて、何カットか撮影してみたが…
「……だめだこりゃ ⤵」
途方に暮れてたところ、シュワちゃんが助け舟
「俺、『ターミネーター』で一緒に仕事したから スタン・ウィンストン 知ってるよ。」
そこで キャラクターデザイン再スタート!
スタン・ウィンストンの証言では、日本に向かう飛行機の中で プレデターの素顔のデザインをしてたら
隣に座っていた ジェームズ・キャメロンが
「口の形を女性器にしたらどう?」
と、ナイスアドバイス!
プレデター造形に大活躍したのが、スティーブ・ワン やマット・ローズのスタッフ達。
タイトなスケジュールの中、数日でスーツ彫刻をし、タミヤの戦車シリーズなどのプラモデルのパーツを使い メカニックな部分を作り上げました。
初期の頃の《宇宙忍者》のキャラが変わった為、ジャン=クロード・ヴァン・ダムは御役御免に...
そんなこんなで、スーツアクターに 218メートルの大巨人 ケヴィン・ピーター・ホールが抜擢。
《スーツアクター》ヴァン・ダム時代の マーシャルアーツを使うキャラが、ホールになって重厚なキャラに変わるが、光学迷彩スタイルで 木から木へ俊敏に動く様は、《宇宙忍者》の片鱗を残してます。
ちなみに そのシーン、実際に猿にスーツを着せて撮影してみた所、猿があっという間に 遥か遠くの森の方に 消えていってしまったそうです 🤣笑
《プレデター》の目線の熱源探知のヒート・ビジョンは、当初 サーモグラフィー装置が使われたが、ロケ地のメキシコのジャングルは 気温が30℃以上あり、何を撮っても 画面は真っ赤になってしまい、
マクティアナン監督は、ひとり ニューヨークに帰り スタジオで ヒート・ビジョン映像を作ったそうです。
役者陣はシュワの他
ダッチ ( シュワ ) の戦友で CIAのディロンに 『ロッキー』のアポロ・クリード 役の カール・ウェザース。
ブレイン役は、プロレスラー ジェシー《ザ・ボディ》ベンチュラ
ブレインのマブダチの黒人 マックに、監督としても評価の高い ビル・デューク
インディアンのソニー役に 『ウォリアーズ』や『48時間』など ウォルター・ヒル監督作の常連 ソニー・ランダム
最初に犠牲者になる ホーキンス役のシェーン・ブラックは、当時『リーサル・ウェポン』の脚本家として売り出し中で、役者 兼 現場で脚本のリライト で雇われるけど、そもそも セリフが少なく 役者のみの仕事だったとの事。
( シェーン・ブラックは、後に『アイアンマン3』を監督し、2018年の『ザ・プレデター』で 監督として再び 帰ってきました )
音楽は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で大成功を収めた直後のアラン・シルベストリ。
印象的なテーマ曲
( プレイリスト② )
は、シリーズ全編を彩ります。
※ ちなみに、シルベストリの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『プレデター』『デルタフォース』のサントラ盤は、中古で見かけたら 買い!
苦労の甲斐あって、製作費 1500万$の映画は、世界興収 9826万7558$ の大ヒット!
さっそく続編の話が出ますが、アーノルド・シュワルツェネッガーは
「脚本に難がある」
と出演を断ります。
理由はともかく、全盛期に入ったシュワちゃんには 続編に出るという選択は無かったのではないでしょうか。
1作目と同じくトーマス兄弟が書いたオリジナル脚本は、どんなものだったか 分かりませんが、
完成された映画は、当時では近未来の1997年のロサンゼルスを舞台に
(『プレデター2』は1990年に公開 )
警察と麻薬シンジケートの抗争に割って入る《ハンター》のプレデターの三つ巴の戦いに、プレデター捕獲を企むアメリカ特殊部隊が絡んでいく 魅力ある映画になっていて
今でもファンが多い作品です。
が、主演がシュワちゃん から『リーサル・ウェポン』の黒人のマータフ刑事役 ダニー・グローバーになるキャストの弱さもあり
製作費 3500万$に対し、世界興収 5712万$の大爆死 をしてしまい
その後、しばらく 続編の制作は途絶えていきます…
こっから 駆け足で行くね😘
1986年に設立されたアメコミのダークホースコミックスは、映画のコミカライズを手がけて
『エイリアン』や『プレデター』などを 斬新なVS シリーズで漫画化して大ヒットさせてました。
その中に『エイリアンVSプレデター』があり、夢の競演の実写映画化が ファンの間で囁かれていました…
両者とも 20世紀FOXが権利を持っていて 、両作品のプロデューサー間をクリアし
2004年に『バイオハザード』の監督 ポール・W・S・アンダーソンで『エイリアンVSプレデター』を監督させます。
( エピソードは いろいろありますが、割愛😅)
6000万$の制作費で 興行収入 1億7254万$のヒットに!
2007年には VFXアーティスト のグレッグとコリンのストラウス兄弟監督で『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター』を公開してます。
製作費 4000万$ で、興行収入 1億2888万$のこれまたヒット!
両作品とも ほぼ製作費の3倍 稼いでいるから、大ヒットだね😁
2010年には『プレデター』単独シリーズ第3弾『プレデターズ』を公開。
『アーマード 武装地帯』(09年) のニムロッド・アーントル が監督。
4000万$の製作費で、興行収入 1億2723万$ の大ヒット!
まだまだ 『プレデター』儲けられる!
現時点で最新作は2018年『ザ・プレデター』
( しかし、芸のないタイトル ⤵……全部一緒に見えるやん 😔)
監督は1作目に出演した シェーン・ブラック。
製作費 8800万$ で、興行収入 1億2523万$ だと!😱
コケたな…
でも、まだまだ やりようによっては ヒットさせる事が出来るキャラクター。
まだまだ作れますよ!
20世紀FOXは、ディズニーに買われた事だし
『ジャック・スパロウ VS プレデター』よろ 😁
選曲
②③『プレデター』(87年)
④『プレデター2』(90年)
⑤『エイリアンVSプレデター』(04年)
⑥『AVP2 エイリアンVS.プレデター』(07年)
①⑦⑧『ザ・プレデター』(18年)
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