2020年下半期は、相変わらずハリウッド・ブロックバスターが延期になり、
その結果、ユニークな作品と触れ合う機会となりました。
ただ、《まろやかで口当たりのいい》ハリウッド映画と違って
個性の強さが好き嫌いを生みます。
『異端の鳥』『ストレイドッグ』『コリー二事件』『カラー・アウト・オブ・スペース』『追龍』『透明人間』『私は金正男を殺してない』など、プレイリストに加えたかったのですが、
soundtrack が無い、もしくは音楽として面白くない…
などの理由から割愛しました。
<(_ _)>
①『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(19年)
2020年8月21日公開
製作総指揮に『俺たち~』シリーズのウィル・フェレルと『マネー・ショート 華麗なる大逆転 』(15年)の監督のアダム・マッケイが。
監督には『リチャード・ジュエル』(19年)の女性記者役で出演している女優オリヴィア・ワイルド。
主人公の女子高生コンビを、『ショート・ターム』のケイトリン・デヴァーと
俳優ジョナ・ヒルの妹で『レディ・バード』のビーニー・フェルドスタインが演じ、
ビーニーは本作で第77回ゴールデン・グローブ賞の女優賞(コメディー/ミュージカル)にノミネートされました。
また、《パーティー大好き》のぶっ飛んだ女子高生ジジ役で、『スターウォーズ』のレイア姫 キャリー・フィッシャーの娘 ビリー・ロードが出ています。
親友同士で成績優秀な女子高生エイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は、
卒業式前日、遊び放題だったクラスメートがレベルの高い進路を決めていることを知って衝撃を受ける。
二人は勉強一筋で青春を犠牲にしてきたことを後悔し、
残り少ない学園生活を謳歌(おうか)すべく卒業パーティーに繰り出すことを決意。
そんな二人の波乱の一夜が幕を開ける……
近年のアメリカ製青春映画らしく、
《LGBT》含めた、様々な個性を持つ高校生たちのユニークな群像劇になってます。
今年上映された『グッド・ボーイズ』もテイストは違えど《アメリカ》らしい青春映画でしたね。
若い方に観てもらいたいです。
鈴木福 君 そっくりなスケボー少年が出てきて、笑っちゃいます😆
②『十二単衣を着た悪魔』(20年)
2020年11月6日公開
原作は、内館牧子の『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』より。
やっぱ、タイトルの元ネタは『プラダを着た悪魔』でしょうかね😅
製作は《木下グループ》の木下 直哉。
木下工務店の社長なのだが、映画に出資する!出資する!
フィルモグラフィを見ると、儲かってなさそうな映画ばっかだが、大丈夫か?
監督は宝塚歌劇団出身の黒木瞳
監督第3作目なんだって😵知らんかった……
主演は《単車にぶつけた悪魔》こと伊藤健太郎
『スティ・ウィズ・ミー』の三吉 彩花
今、けっこう重宝されてる《売れっ子》伊藤沙莉
他、ラサール石井、伊勢谷友介、山村紅葉、笹野高史らが脇を固めます。
(伊勢谷友介氏も出ている、伊藤健太郎とダブルコンボ!)
EXITの兼近も、伊藤健太郎が派遣される展示場の設営責任者で、呂律が回らない《喋り》を見せて《トリプルコンボ》
就職試験に落ちてばかりのフリーター・雷(伊藤健太郎)は、京大に合格した弟に対し劣等感を抱いていた。
ある日、アルバイトで「源氏物語」の世界を模したイベントの設営をした彼は、帰宅途中に激しい雷雨に襲われて意識を失ってしまう。
目を覚ますと、そこは「源氏物語」の世界だった😵
アルバイト先で配られたあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御(三吉彩花)に見いだされた雷は、
息子(田中偉登)を異母弟・光源氏(沖門和玖)との帝位争いに勝たせるべく闘う彼女に振り回されながらも次第に触発されていく……
自身の境遇と重ねつつ、悪名高い弘徽殿女御に仕えていくことを決意する雷だったが……。
普通に考えたら、カルチャーギャップ・コメディになるのだが、思いのほか真面目な展開。
てか、『源氏物語』の世界にタイムスリップ…って……
会うなら、紫式部でしょうに!😅
話の展開に乏しく、起伏がない。
(予算が少なかったのか?)
このストーリーなら、三吉彩花はミスキャストなのではないか?
てっきり、伊藤健太郎と三吉彩花の恋愛モノかと思いました。
役柄から 夏川結衣とか、黒木瞳自身がやった方が良かったと思います。
文句ばっか言いましたが、起承転結の結は良かった。
こういう物語の定番ですが、泣けました。
ご覧になる方は、軽い気分で御鑑賞くだちい。
③『ドクター・デスの遺産』(20年)
2020年11月13日公開
『さよならドビュッシー』『連続殺人鬼カエル男』などで知られる作家・中山七里の小説『ドクター・デスの遺産』を原作にしたクライムサスペンス。
監督は、『サクラダリセット』シリーズなどの深川栄洋。
『サクラダリセット』か……あれはやばかったな
『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』『影裏』などの綾野剛が主演を務め、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』『ファーストラヴ』などの北川景子らが共演する。
警視庁捜査一課の敏腕刑事である犬養隼人(綾野剛)は、バディである高千穂明日香(北川景子)と共に終末期患者が次々と不審死を遂げる事件を追う。
捜査を進める中、依頼を受けては終末期患者に安楽死をさせる「ドクター・デス」と呼ばれる謎の医師がいることが判明。
苦しませることなく、被害者たちの命を奪っていくドクター・デスの目的と正体を探る犬養と高千穂だったが、
腎臓病に苦しむ犬養の娘・沙耶香(田牧そら)が、ドクター・デスに自分の安楽死を依頼してしまう……
原作好きには《刑事犬養隼人》シリーズの第4弾として知られる本作
テレビドラマのオープニングの様なタイトルバックが逆に斬新!
(評判悪そうだが……オラは好きだよ)
しかし、本映画、残念なのはテンポが悪いこと。
盛り上がって来ない為、私の二つ隣の席から寝息が……(-_-)゜zzz…
安楽死は、善悪を超える難しいテーマ。
批判も受け止める覚悟で挑んで欲しかった……
音楽は吉俣良、主題歌は[Alexandros]。
④『グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー』(19年)
2020年11月13日公開
本作は、ジョグジャカルタのコミックアーティスト・ハスミによって書かれたコミックが原作。
1969年~1982年 にかけて、インドネシアで23冊出版された人気ヒーローを、スクリーンプレイ・フィルムズ映画制作会社と
ブンミラゲット・スタジオとの共同制作で映画化が実現!
また、同社は《ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース》(BCU)を立ち上げ
本スタジオが抱える 1.100 以上のヒーロー・キャラクター達の映画を世界に発信予定!
以後、続々と coming soon❗
オープニングのロゴは、MARVEL か DC かと思うほどクリソツ。
紛争が続く貧しい地域に住むサンチャカ(アビマナ・アルヤスティア)は、労働争議の最中に父を亡くし
働きに出た母も失踪と不幸続き……孤児になってしまう。
それでも何とか耐え、成長し、警備員としてい生き抜いていた。
サンチャカが恐れるのは、子供の頃 直撃した雷。
雷はサンチャカの身近に常にあり、その《雷》が特別な力を自分に与えている事に気付く。
街は権力が好き勝手にして、労働者はその暴力に怯えて暮らしていた。
今まで、争いの場に関わらないようにしていたサンチャカだったが、
同じフロアに住む姉弟が、暴力に晒された時
遂に立ち上がる決心をする……
実力を見せ始めるサンチャカを処分する為に
《街のボス》ペンコールの手下のキャラクターがユニーク!
催眠術師や、『キル・ビル』の《GOGO夕張》にインスパイアされたような《女子学生KILLER》も登場。
お国柄か、貧しい労働者の味方のヒーローってのもイイネ。
soundtrack album には、いろんな楽曲が入ってますが、本編には ほぼスコアのみ。
この④曲目のノリノリな曲も、エンドクレジットに他の曲と
まるで《全部乗せ》の様に、刻んだ形で流れますが、良い曲も多いんだから、アクション・シーンでカッコよく流して欲しかった😭
何となく汗と油の匂いがするヒーローですが、なかなか面白かったですよ。
お時間があれば是非。
⑤『ザ・ハント』(20年)
2020年10月30日公開
富裕層が娯楽目的で行う人間狩りを描いたバイオレンススリラー。
標的として集められた男女のサバイバルを、アメリカ社会への風刺を盛り込み活写する。
『ゲット・アウト』など数々のヒット作を送り出してきたジェイソン・ブラムが製作、
『コンプライアンス 服従の心理』などのクレイグ・ゾベルが監督を務めました。
オスカー女優のヒラリー・スワンク
ドラマシリーズ「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」などのベティ・ギルピン
『パロアルト・ストーリー』などのエマ・ロバーツらが出演。
広々とした森の中で12人の男女が目覚めると巨大な木箱があり、中には1匹の豚と数多くの武器が入っていた。
状況が飲み込めないまま何者かに銃撃された彼らは武器を手に逃げ惑う中、ある《噂》が本当であったことに気付く。
それは、「マナーゲート」と呼ばれる一部の富裕層によるスポーツ感覚の「一般市民狩り」だった。
一方、狩られる側の1人であるクリスタル(ベティ・ギルピン)が反撃を開始する……
2019年9月27日に全米公開される予定だったが、8月にデイトンとエルパソで銃乱射事件が発生した事で《二転三転》
ユニバーサル・ピクチャーズは本作のプロモーション活動の中止。
ほとぼりを冷まして、ユニバーサルは本作を2020年3月13日に全米公開すると発表し、予定通りに封切られたものの、
その前後から新型コロナウイルスの流行が拡大し、多くの映画館が閉鎖に追い込まれた為、ユニバーサル・ピクチャーズはデジタル配信に切り替えました。
本作のストーリーは「富裕層が一般人を娯楽として殺害する」というものなので、
保守層は本作を「リベラル・エリートがトランプ大統領の支持者を虐殺していく様子を描いた映画だ」と批判しました。
2019年8月9日 ドナルド・トランプ大統領も、作品名はあげてはいないけど Twitterで
「リベラルを標榜するハリウッドは怒りと憎悪に燃える最悪のレイシストだ。(中略)。近日公開予定の映画は社会に混乱をもたらすために製作された。ハリウッドは自らの手で暴力を生み出し、異なる思想の持ち主を糾弾しようとしている。ハリウッドは真のレイシストであり、我が国にとって害悪である」とツイートしました。
でも私はこの映画、面白かったです。
主義主張のみで映画は観ません。
誰が生き残るのが読めない!
それは、映画に大切なドキドキ感❗
展開が早く、理想的なダイジェストを観ている様で、あっという間に終わりました。
ま、好みはいろいろ……だけど、私はオススメします。
⑥『権力に告ぐ』(19年)
2020年10月9日公開
ゴリ押し捜査で《ゴリ検》の異名を持つソウル地検のヤン検事(チョ・ジヌン)は、
かつて当て逃げ事件で聴取をした女性スギョンがヤンにセクハラをされたと遺書を残して自殺したことで、停職を言い渡される。
身に覚えのないヤンは汚名返上のため、独自に調査を開始。
大韓銀行の職員だったスギョンは、自殺する前に大検察庁の捜査部からも聴取を受けていた。
大韓銀行は、破綻寸前という虚偽の報告書によって安値でファンドに売却されたが、その報告書を金融監督院に送ったのがスギョンだった。
そして、それを受け取った職員はスギョンの恋人で、彼もまた事故で亡くなっていた。
徐々にこの事件の真実に近づいていくヤン。
その過程で、大韓銀行を買収した米・スターファンド側の法律代理人を引き受けたエリート弁護士のキム・ナリ(イ・ハニ)に会うことになる。
敵である2人は協力して事件を暴き出し、その核心には俗称“モフィア(企画財政部+マフィア)”がいることを知る。
大統領府ともつながりを持つ“モフィア”の中心の元首相(イ・ギョンヨン)は、検察に圧力をかけて捜査を妨害する……
2003年、アメリカ系ファンドのローン・スターが韓国外換銀行(KEB)を買収し、リストラ等の経営建て直しにより黒字化を達成した。
2006年、ローンスターがKEBを売却しようとしたところ、
ローンスターに対しKEBを不当な低価格で買収した容疑、脱税、外貨密輸入の容疑で検察による家宅捜査が行われました。
そして、株価操作について起訴が行われ、
2008年2月のソウル中央地裁第1審は有罪、
6月の第2審では逆転無罪となりました。
ローンスターや欧米の投資家は、これを不当な捜査だと受け取っており、この事件により韓国から投資資金が流出したと言われてます。
KEBを巡る韓国行政府の一連の対応は、
韓国のポリティカルリスクの高さを世界に広く知らせることとなり
この事件により「韓国でしか起こりえないような予想外の出来事」を指す
「OINK」《Only in Korea》
という用語が誕生したとされています。
こんな、現時点(2020年6月)も係争中の事件をもとに、
『折れた矢』(11年)『南営洞1985 国家暴力、22日間の記録』(12年)など社会派作品で知られるチョン・ジヨン監督が映画化。
こういう題材をエンターテインメントに出来るのが、今の韓国映画。
実際の事件の真偽はともかく、映画は面白いです。
韓国映画は、良い意味でも、悪い意味でも《熱い》!
※ 韓国ものは、配信停止が早い ⤵
とりあえず、『ザ・ハント』からもう一曲を⑥曲目に…
⑦『ソニア ナチスの女スパイ』(19年)
2020年9月11日公開
第2次世界大戦中、ナチスドイツに潜入しスパイ活動を行った女優の実話に基づくノルウェー産の映画。
ヒロインを『ニューヨーク 最高の訳あり物件』などのイングリッド・ボルゾ・ベルダルが演じ
『幸せなひとりぼっち』などのロルフ・ラッスゴード
『西という希望の地』などのアレクサンダー・シェーア
『プラネタリウム』などのダミアン・シャペルらが共演。
監督は、イェンス・ヨンソン
『ヒトラーに屈しなかった国王』などのハラール・ローセンローヴ=エーグとヤン・トリグヴェ・レイネランが脚本を手掛けました。
第2次世界大戦中、
ナチスドイツ占領下のノルウェーで活躍する女優ソニア・ヴィーゲット(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)に注目したナチスの高官ヨーゼフ・テアボーフェン(アレクサンダー・シェーア)は、
彼女を宣伝活動に利用しようともくろむ。
そんな折、スウェーデンの諜報(ちょうほう)機関からスパイとしてナチスに潜入することを依頼されたソニアは、
一度は拒否するも逮捕された父親を救うためテアボーフェンに近づく。
彼の信頼を得たソニアは、ナチスのスパイとして北欧諸国の動向を探るよう求められる……
この映画のモデル、ソニア・ヴィーケットは
晩年をスペインで過ごし、1980年に亡くなりました。
戦後も女優として活動していたが、一般には「ナチスに協力的な女優」というイメージが付いてしまい、
おおかた忘れられた存在となっていたそうです。
彼女が実はスウェーデン側に協力していたことは、
2005年に関連文書が公開されてから明らかになり、
遅まきながら、名誉回復がなされた訳です。
スパイものは、「バレてしまうのか……」
と、ハラハラします。
大国の思惑と、一人の女性の人生。
あの時代に生きる事の大変さが伝わります。
⑧『薬の神じゃない!』(18年)
2020年10月16日公開
2014年に中国で実際に起こり、中国の医薬業界の改革のきっかけともなったジェネリック薬の密輸販売事件を映画化。
上海で小さな薬屋を細々と営むチョン・ヨン(シュー・ジェン)は、店の家賃も払えず、妻にも見放され、人生の底辺をさまよっていた。
ある日、血液のがんである慢性骨髄性白血病患者のリュ・ショウイー(ワン・チュエンジュン)が店にやってきた。
彼は国内で認可されている治療薬が非常に高価なため、
安くて成分が同じインドのジェネリック薬を購入してほしいとチョンに持ちかけてきた。
最初は申し出を断ったチョンだったが、金に目がくらみ、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染めるようになる。
そしてより多くの薬を仕入れるため、チョンは購入グループを結成する。
白血病の娘を持つポールダンサーのリウ・スーフェイ(タン・ジュオ)
中国語なまりの英語を操るリウ牧師(ヤン・シンミン)
力仕事が得意な不良少年ボン・ハオ(チャン・ユー)
などが加わり、密輸・販売事業はさらに拡大していくが……。
ムロツヨシ似の主人公が、次第に白血病患者の為になんとかしようとする姿に熱くなります!
インド製の精力剤で小金を儲けようとしていた主人公、最初は適当な所で 足を洗いますが、
患者の死に、薬を輸入していれば…と後悔し
中国警察に捕まるのも顧みず、輸入を再開し
そんな主人公に、仲間たちが犠牲も厭わないで助けていく……
そう、この映画は《男泣き映画》なのです!
男たちの心意気に涙して下さい!
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