夏の終わりの水郷花火が 水面に映した二人の話 「今夜またここで」と 待ち合わせた夜の19時 いつもタバコを消す頃 やってくるのに 今夜ばかりは違うみたいだ いつもと違う香りがしたのに 作り笑顔を貼り付けて 気付かないフリ 踏切を渡った先で鳴らした口笛は 電車に遮られた 夏の終わりの水郷花火が 水際 二人を引き止めて 揺れる心と揺れない結末が そっと 映る揖斐川 人混みを掻き分けて やっと辿り着いた2番線 手を引く僕と照れる 君はそこに居なくて ふと目が覚めた午前6時 夢に見ていた 震えた指先がきっと 先を歩く小さな左手に 触れてしまいそうな距離のままで そっと目を閉じて 終わりにしよう 夏の終わりの生温い風が 不確かな二人を引き裂いて 葉月の暮れに溶かしたかき氷 熱は冷めないままで 巡る思い 夜半の夏 冷えたラムネで洗い流しても 滲んだ汗が風にさらされて この夏が終わりを告げる