男だぜ 男だよ それだから 気まゝに生きたが 何故悪い どうせ こちとら 波止場野郎にゃ 御意見は無用 吹く風まかせ はぐれ鴎の 仲間なのさ 「おーい、 おふくろさーん・・・・ 達者でいるかよ うー。 チェッよせやい柄でもねえ、 何が今更おふくろだの、 生れ故郷だのって・・・どの 面さげて言えるんだい、 フフフ・・・。 それにしても、ひーふーみーよー ・・・もうあれから五年か。 国を出る時、 きっと待ってるって言った、 あの娘だって、 もうとっくに二十才を 越えちゃってる筈だ・・・。 こんな潮風の沁みっついた、 波止場野郎の俺を、 あの娘ァ本気で今でも、 待っててくれんのか知ら・・・。 アハハハハ、何寝ぼけてんだい、 馬鹿野郎!甘っちょろいぜ。 もうとっくに、とっくにあの娘ァ、 嫁に行っちゃったい。 嫁に行っちゃったい。 嫁に行っちゃってらい!」 白い船 黒い船 青い船 あんなに泊っちゃ いるけれど 俺ら そうだよ 波止場野郎の 夢なんぞ 故君へ 運んでくれる 船は一つも ないんだぜ