ある時 僕が迷い込んだ 不思議な でも素敵な場所だ 其処には とても大きな川が 目の前を流れていたんだ 其処では 誰も彼も皆 其々 石を選んでいた 水面を跳ねるかの様に 石を投げて楽しんでいた ひとつふたつ 波紋を描く まるで音を奏でる様に みっつよっつ 波紋を描く 投げ方だって個性的だ 対岸では多くの人が 石の行方を見守ってる 大きな声を上げ皆で 惜しみない声援を上げる 見様見真似で僕も石を 掴んで投げてみた だけども 大きな飛沫を上げ沈む 綺麗に投げるのは難しい ひとつふたつ 波紋を描く 投げる度に波紋は増える みっつよっつ 波紋を描く 投げるコツも分かってきたな 幾度か 石を投げたけれど 向こう岸へは届きゃしない 「しょうがない」と諦めた僕は 投げ方が分からなくなった あれから時は流れて 川の事を忘れて 「石なんて何時だって投げられる」 なんて そうやって驕り高ぶって 見ない振りをしたって 投げ続けてた人達にゃ敵いやしない 「投げ方が分からない」って そうやって嘯いて 何時だって 分かろうとした事無いくせに 逃げたっていいんだ だけど 逃げ続けたら駄目だ 何時かは向き合わなきゃ いけないんだから 幾つか齢を重ねて 向き合う事を決めて 「石なんて何時だって投げられる」 なんて それは間違いじゃ無いんだ 見ない振りをしたって 何時だってその川は 其処に在ったんだ 「投げ方が分からない」って 分かった様な振りして 誰だって試行錯誤して辿り着いた 自分だけの投げ方を 見つけ出せばいいんだ そんな簡単な事に 気付けなかったんだ 投げ方なんて自由なんだ 何も悩む事は無いんだ 何時か僕も向こう岸まで 届く様になったらいいな 向こう岸まで辿り着いた まるで宝石の様な石だ 川底に沈む石なんて 誰にも気付かれる事無い