松の廊下の 刃傷を 国へ知らせる 早飛脚(ハヤビキャク) 殿に殉じて 切腹か 城を渡して 浪(ロウ)の身か 揺れる家中を 前にして ひとり思案の 内蔵助 殿に忠節を誓い 藩の行末を愁う各々方のご心底 しかと見定め申した。 二心(フタゴコロ)なき証拠の血判 押したる連判状と 各々方のお命は 赤穂藩城代家老 大石内蔵助良雄(ヨシタカ) しかとお預かり申す 問わず語らず 胸の内 妻に持たせた 離縁状 他人(ヒト)の謗りを 背に受けて 廓 通いの撞木町(チョウ) うつつ抜かすも やがて成す 秘めた大志の隠れ蓑 雌伏一年十カ月 亡き殿の仇を討つ日がついに参った これより吉良邸へ討ち入りいたす。 逃れる者は追うべからず 刃向う者のみ切り捨てよ 目指すは吉良上野介殿の 御首(ミシルシ)ただひとつ。 山と川の合言葉を忘れず 各々方存分にお働き召されい。 殿のご無念 晴らすため 武士の一分(イチブン)立てるため 雪を踏みしめ 吉良邸へ 赤穂浪士が 四十七 今宵 討ち入り 大石が 打つは山鹿の 陣太鼓