ポプラの木にそよぐ風は 小鳥達を誘う 待ち続けた喜びの声 町中にこだまする 緑の芝生は大の字で 光を受け止める 友と学び恋した日々 ふる里に春が来た 抜けるような青い空に そそり立つ入道雲 子供達は恨めしそうに 海から砂浜へ 頭を垂れた麦の穂は 案山子と夕日の中 母と歩いた市場への道 ふる里に夏が来た 北風が吹いて 舞い落ちる ポプラ並木の枯れ葉達 白い大根が 庭々の 物干に吊るされる 暗い物置に眠っていた ストーブが顔を出す 花火夜空を見上げた河原 ふる里に秋が来た 身の丈ほども 降り積った バス通りの冬景色 子供達の遊び声の 中で日が暮れ始める それはまるで心の古い 思い出のスクリーンさ 私が生まれ育った町 ふる里に冬が来た