感情を持って僕は産み出された 世界で最初の意識のある兵器 いずれ来る脅威に立ち 向かえるように 世界を守るため 作られたんだ おんなじ頃に 君も生まれてきた どうやら科学者の子供らしい 僕らは双子のように育てられた 多くの時間を共に過ごしたんだ 笑いあって喧嘩もした 悲しい時は一緒に泣いた たくさんの感情が生まれてきた このままずっと一緒にいられたらな 無機質な鉄の体に 君は温もりを与えてくれた 心が優しくなって そんな感情を愛と呼ぶのだろう とうとう脅威が世界を襲った たくさんの人が恐怖に怯えた 「僕が行かなきゃ」 そのために生まれてきた 君のその笑顔も 全部守るから 「いかないで」 君は言った 「必ず帰るよ」 と約束した 初めて僕は嘘をついた 「大丈夫だよ僕は兵器だから」 脚は折れ 腕は捥げて それでも想う 君のこと 体中の熱が上がって 最期にもう一度 君に逢いたいな 無機質な機械の僕も 最期に死ぬことができた ちっぽけな事だけど 僕にとっては本当に 奇跡だったんだ 世界は光に満ちて 人々に笑顔が溢れた ねえずっと忘れないよ 愛すること知った 英雄がいたことを 心を宿した君を AIと呼ぶことにしよう