ダンスホールから明け方の街へ 目を細めてかざした手 六月の陽射しが昨日のスコールを 焦がす匂いがした 夏への嫉妬が紫陽花を枯らして 終わったこと引きずるのは無しで 始発電車が始まりと終わりを 運んでく 夜はだんだん短くなって 日差しはどんどん強くなって 濡れた歩道はもう色を変え 何事もなかったよに朝を迎える こんな風に変わっていくのかな こんな風に進んでいくのかな 立ち上る湿気と アスファルトの匂いが 昨日の気配湛えた うつむく間もないほどに流れる 持て余した手のひらに残る温もりを ただ風がさらってく ふたり別の季節へ きっと君は来ないから歩き出せる 吐き出された改札振り返らず 抜けてく 新しい歩道橋は 君の足音を知らないまま 人気のないキッチンには ハイライトとウイスキーグラスと 期限切れの調味料 約束が墓場に列をなしてる 信号が青に変わって 真っ直ぐに前を見据えて歩き出す 転んでばかりいた靴でも 上手に足音を響かせて 馴染んだ路地のカーブミラーを 曲がらずその先の先の駅へ 陽炎が見えない内に閉まる ドアに飛び込んだ 振り向く間もないほどに忙しく めくる日々のその先で騒ぎ立つ夏が 僕らを駆り立てる ふたり別の季節へ 三番線を抜ける風 二度と届かなくなるところまで 行け 行け 行け あの頃のように笑えない 僕らを待ち受けてるものは何 行け 行け 行け