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廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。

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  • 2018.12.26
  • 3:49
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歌詞

どこかくすんだ九月の日 枯れだす大気は 季節を掻き毟った 母胎の森はいつもより 騒ぎ立てていた 教室の水槽が消え 幾千の魚が 海岸に打ち上がった 不吉にも僕は自転車で カラスを轢いた 山小屋の羊たちの鳴き声は 何処へ行ったろうか ずっと長い未来から 逃げ出すみたいに 「ウージの眼」と呼ばれる 巨大な送電塔は 赤く赤く染め上がって 見下ろしていた 閑静な廃景に鉄塔、 田園に浸かって 簡単なカメラで 僕を写した 唐突に視界に入った 黒い制服の彼女は 口を開いた 「あなたは私の 産まれ変わりなの」 そう言ってすぐに 背を向けて去った 焼き付いて離れない表情から もう逃げられない 夕暮れがアスファルトを焼く 単調に焚きだす祭囃子を抜け 綺麗な字が書かれた 紙切れをまた見た 線路に導かれて 聞かない駅、 二番ホーム そこには予告通り 彼女はいた 手には枯れた 花束を持っていた 静寂な夜を歩いた 会話もなかった 塞がれた石の トンネルがあった 板張りの隙間から 奥の方に鳥居が 僅かに見えた 「あなたの産まれる 前の日のこと、 16年前の今日を 教えてあげる」 花を供えた目は 泣いていた これはまだ始まりだった 守られない命も 隠したことも ほんの些細な言葉も 誰かが背負っていた

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