海岸線沿いに夏雲が雪崩(なだ)れると 砂の蜃気楼に立ちすくむ影ひとつ 人影もない入江 そこが二人の秘密の場所で 象牙海岸と名前までつけた 遠い夏 あれから私 時の波間を ただ流れ木のように ひとりで生きて来たの もう一度訪ねても 道順さえも記憶の彼方 夢の中で見た風景のように 遠い海 あなたのあとに愛を知っても ただ流れ木のように 岸辺で踊っただけ 三年をへだててあなたから来た電話 懐しい名前に忘れてるふりをした 冷たいと言われたけど 本当の気持ちもし話しても 過ぎ去った時を埋めるものはない 遠い夏……遠い夏……遠い夏……