長いクラクションは世界中に向けた 最後のお別れを言うように街に響く もう二度と一緒には戻れない 街の通りを茶毘所に向かう 車から見ていたら 通りに出てきた小さな子供達が 母親の前に 並んでいつまでも 手を合わせてくれていたんだ どんな人生だったと 神様に尋ねられた時 彼らの姿を思い出して 亡き人も微笑むのだろう だから僕はあの日から 黒い車を見つけても 親指を隠さず 手を合わせようと決めたんだ 親の死に目に会えないとか 不安な迷信を まだ幼い子供に 教えたりするその前に もっと教えておくべき 大事な事がある 例えば誰の命も限りがあることとか 何にも持っていくことはできない 自分の体さえも置いて 心だけで旅に出たのは 誰にとっても 本当は大事な人なんだ 誰かの命が終わったと 知った後少し心が傾くようで 名も知らぬ誰かにも自分が 支えられて生きていると知る だからありがとうの気持ちと 次の旅先の無事を祈って 親指を隠さずに 手を合わせて見送りたい そのあとゆっくり目を開けると なぜか さっきより世界が暖かく 愛おしく見えるんだ