少しだけ横になるつもりが いつしか深く眠っていた 部屋の明かりの眩しさと のどの渇きで目が覚めた 体が妙に火照っていて 風に当たりたくて窓を開けた 夕方から強く吹いていた 風はうその様に止んでいた 未だ明けない西の空の 静けさの中に浮かぶ月 綺麗な丸い月ではなく 細くて鋭い三日月でなく いびつな赤い月だった いつしか月日は流れてゆき 人生も半ばを過ぎたころ 気持ちが浮いたり沈んだり 自分が自分でないようで 愛しい家族に支えられて こころ許す友にも巡り合えた なのに時折襲ってくる 言い知れぬ不安と寂しさよ ところ狭しと建ち並ぶ 墓標のような夜の街 じわりじわりと沈みゆく 月を見つめてため息をつく 星が消えゆき また朝が来る