私は…私たちは… 私たちは道です。 私たちは、生命のない、 旅を支えたものです。 足の代替としての私たちはただ、 人を行きたいところに運ぶ。 生命じゃなく寿命がある私たちは、 寿命が終わるまで人間と 付き合い続けている。 人間が出会いをする時。 人間が別れをする時。 人間が喜びを感じる時。 人間が寂しさを感じる時。 人間が人間らしいことをする時。 人間が人間らしく感情を感じる時。 生命も感情もない私たちは、 生命も感情も有する 人間たちの記憶の一部になる。 それが楽しいことであろうか、 私たちはわからないけど。 それが悲しいことであろうか、 私たちはわからないけど。 それが素晴らしいことであろうか、 私たちはわからないけど。 それがくだらないことであろうか、 私たちはわからないけど。 それが美しいことであろうか、 私たちはわからないけど。 わかるはずもないけど。 道は旅の目的ではなく、 手段であるはずでした。 でも道にも美しさが宿っている。 私たちの旅は道に刻まれ、 道は私たちの旅に刻まれた。 例え私たちが消えても、 道が消えても、 記憶は生き続けるだろう。