僕の病室 君の揃えた 青い水差しと 白いカーテン 子供の声に 目覚めれば日差し 坊やが窓越しに 笑顔でおはよう あの子の部屋は 僕の真向かい お見舞いのイチゴが見える やがて注射は イヤだと泣き声 いずこも同じと 君が笑う 遊び盛りの 年頃なのにね あんなに可愛い 坊やなのにね カルテ抱えた 君はちょっとふくれて 不公平だわと つぶやいた 紙飛行機のメッセージ 坊やから届いたよ 夏が過ぎれば 元気になるから そしたら二人で キャッチボールしよう 返事を乗せた 飛行機を折って 飛ばそうと見たら 空っぽの部屋 少し遅めの 矢車草が 狭い花壇で 揺れるばかり 受け取る人の 誰もいない 手を離れた 飛行機 君と見送る 梅雨明けの空へ 坊やの元へと 舞い上がる