叶えたいのは何? どんなものでもいいから 描いたらいい 青すぎる海に 手を伸ばしてはふいに 立ち止まったり 夕暮れに溶け込んだり ただいまを言えないまま 旅路の中に一人迷いこんだ 世界にあまりある命のなか なぜだか あなただけが輝いた テーブルの上で歌う誰かのうたを かき消しながら過ぎていく 夏風は遠くへ (「もし、神様がいるとしたら、 それはきっと本当に 綺麗な青をしてるんだろうね。」 彼女がいた夏は遠く過ぎ去った。 防波堤、暑い昼下がり、 気の抜けたサイダー、 薄くなったサンダル、石鹸の香り。 夏は入道雲と一緒にやってきて、 僕たちに熱と眩暈を与えて、 風とともに去っていく。 そうしてまた旅に出て、 終わらない夏の背中を、 追いかけている。 彼女の言う通り、 世界は青で満ちていた。) 叶えたいのは何? どんなものでもいいから 描いたらいい あまりある命のなか なぜだか あなただけが輝いた いつかは忘れてしまうとしても すべてを捧げて感じていたいよ 旅路の果てに残るものだけは 何一つ 誰も教えてくれないよ テーブルの上で歌う最後のうたを かき消しながら過ぎていく 夏風は遠くへ