潮汐(うしお)が留め処なく満ちては引いているの 太陽と太陰(つき)は最古の役目を背負っている 草木が噤んだまま萎えては萌えているの そう、人間も宇宙にただ肖っている事態 年若く傲慢なものほど体はいやに旺盛で 愚かしいなりにも飽きては飢えているの 損しては得したりまた冴えては鈍ったり 山岳(やま)が遠くの雲を乞うては去(いな)しているの 女性(おんな)と男性(おとこ)は 太古の掟を請け負っている 果実が潜んだまま朽ちては熟しているの そう、人間も宇宙をまだ全然ご存じない 年老いて謙虚なものほど体は草臥れ儲け 結局賢いなりにも凪いでは時化ているの 害しては益したりまた恥じては誇ったり あなたのまなこが なみだを湛えている それは? うれしくて? かなしくて? 何てかわいらしくて何てかわいそうなの もう全部くださいな 瞬間を永遠にして 光と影の応酬はいつも体へ丁度同期(シンク)して 酸いも甘いも同じだけ交互に味わうのよ そう、人間は今原初の閃きを残している だれもが話すたび覚えては忘れているの 愛しては怨んだりまた病んでは癒えたり あなたは生きている