泡沫の夢としても それが僕達のすべてで たくさんの愛を残して 静かにひとつはじけた 「どこに還るの?」尋ねてみたら 何も言わずに 僕の 胸の方を指差した 僕がもっと幼い子供だったら 「連れていってよ」と 駄々をこねたかもしれない 人の願いなど 大きな時間(とき)の前では 大河に漂う 木の葉みたいだ もう会えないのかなぁ? そう思うのは寂しすぎるから 寂しすぎるから 見上げた空も 色付きだした花も 唄う鳥も 悲しんではくれないね 知っているんだろう 満天下の何もかもが 永い物語の途中なんだと そこで待ってて いつかは 会いに行くよ 話したいことが 両手いっぱいに溢れてる その時まで 僕なりに頑張ってみる そしたら もう一度 抱きしめてよ 茜さす午後の病室 春はもう すぐそこに 瀬戸内の海は今日も きらきらと光っている