水辺に積もる雪 滴って流れとなる 懐手して 歩けども 息は白く 外は寒いものです 魚氷(うおひ)のぼりし 日々は来ずとも人のこころ せわしなく ひとり歩けば 別れた同胞の 言葉を思い返して 元気でいるのかと 一人ごちる 呟いて 風は冷たく頬を打ち のぼる曙 照り返し 行けど歩けど 道に迷い すすむ方角 訝って悩む時など 今ではないと 先をにらみ この刹那(とき)を おざなりにして手の内滑りゆく 幸福(しあわせ)に 目をそらして 正しさなど まやかしと 一人むなし 呟くか 節分を過ぎ 寒き春の日 ひとり心 さびしくて 君の名を呼び 忘れてくれるなと 願う想い 時超えて 思い返す 同胞と 分かち合いしあの時を 未だ君を 想うとき 胸はあつく込み上げる 忘れるな 同胞よ 此処で生きる 呟いて