どうか生きてくださいって 軽く言うじゃないか どうせその続きにあるものは 何も知らんぷりで なんて呟いたところで 歌の流行りも廃り 愚痴をぶつけるはずの相手も いなくなっているんだ 都心から二度乗り換えて 少し歩いた先の 高架下のアパート 切れた街灯のそば 僕の他には誰一人 いないかのような街で まして闇の中では 人の影も見えない 低い天井 見上げるたびに募る 耐え難い倦怠感のそのわけが 寝不足か生きる意味不足か 見分けがつかなくなれば 終わりなんだ もう少しだけ生きてみてと 祈りのように響く声が 誰の言葉か忘れそうな夜更けに いつまで生きればいいのって どこにも答えはないままで 何とか言ってくれよ ずっと一人きり 廃墟暮らし 処刑台の刃みたい 満員電車のドア ひと思いに閉じ切らないから なおさらたちが悪い なんて呟いて気づいた 生と死の境目は 急行が通り過ぎる前の 線路の上にあると 遠い戦争 見慣れるたびに募る 絶え間ない厭世観の下敷きに ただここで生きていたいんだと 願う彼らがいるのは わかっているのに もし辛いなら逃げていいと 救いのように謳う声が どこへ行けるか教えようとはせずに 話は終わってないよって 呼び止めるため追いかけても 勝手にいなくなって まだ続いていく 廃墟暮らし とうの昔に朽ち果てた 機能不全の幸福が 吹き溜まるのにふさわしい この街の終着点で いつか聞いたはずの慰めの 続きを問い直してみても 誰の返事もなく 希望の残骸に反響した 世界がすべて廃墟みたい 見渡す限り同じ景色 どこへ逃げても何も変わらないなら 今すぐ終わりにしなよって 自分で自分に嘯いて だったらいなくなってやる もう少しだけ生きてみてと 呪いのように響く声が 誰の言葉か忘れてしまった夜明けに いつまで生きればいいのって 本当は全部知ってるだろ 何とか言ってくれよ ずっと一人きり 廃墟暮らし