美しい音が聴こえた ハラハラと花弁が散りゆく音が 輝いて色褪せた 全て時に攫われて 香りの無い場所に辿り着いた 朝がくればこの想いも 溶けてなくなるのね 全て二度と思い出すこともない程に 霜が溶けて朽ちる様に 答えを探していた 春が来れば 違う場所で違う時を生きるのね 砂に滴る雫 夜に閃光を放つ星 どこか哀しげに話す言葉 全部掬い上げたかっただけ 煌めいて揺らめいた 薄れゆく蜃気楼に 伸ばした指が少し触れた 私がいつか手を離せば 溶けてなくなるのね 全て二度と思い出すこともない程に ふたたび冬が訪れたら 僅かに形どった 霜を見つけ心奪われ違う時を この想いもこの憂いも いつか時の流れに勝てず 消えゆくだろう ただ手に残る跡はいつまでも