背中を丸めて奴は駅前で 週末の街の風景に溶けている 手に入らぬものなら多くある 甘い夢は逃げてゆく 興醒め顔が見送っている 花のように 着飾った男や女が過ぎてゆく 今あまりにそれ等は遠過ぎて 麻痺した心に風だけが 生きている事実を告げている 歌うように微笑むように 静かに凍りついてゆく夏の光 イントロが鳴りだしそうな雲行きだ 夕刻に嗚咽のような鐘の音だ ふと泣き顔と笑い顔は入り交じる いつもの見慣れた街角が 知らない何処かに見えてくる 終わりの始まりのような 黄ばんだ雲が光っている 手厚い祝福のように 悪魔の囁きのように