雪は融け、鳥の声。 遥か上、雲が往く。 過ぎる風に追い抜かれ、 歩みは鈍さを増す。 置いた夢を取り忘れ、戻りて遅れ。 見渡せば唯、此処に独り。 足は震えて。それでも、 何も誇れずとも花は咲き、 何を見捨てても息は続く。 そんな当然に足掻きたくて、 書く標の歌。 足が竦み、蹲り、ふと日差し、 振り返る。 ずっと来た道を識り、 旅程が巡った。嗚呼 息を吸い、立ち上がり、 風に春香り。 先の長さには唯呆れ一つ。 それでも、復た踏み出す。 何も誇れずとも花は咲き、 何を見捨てても息は続く。 そんな当然の中で歩き、 風に歌一つ。 何も誇れずとも花よ咲け。 足の進む跡、標と成れ。 いつか誇れると願いながら、唯、 花を眺み、歩き出す。