最期に見た景色は、 ひどく歪んだようでもう 遠くなった。 何度も噛む言葉が、 冬を透かしたようでもう 鈍くなった。 溶けていくこと。 痞えていること。 滲むような爪の 隙間にある傷も、 閉じていたこと。 溺れていること。 切り取る瞬きの 眼窩に咲く今も、 裂いて。 数えることも怖くて 嫌になっていた。 浮かぶ痣も醜くて 落ちる雪になりたくて。 肺に残る静けさも 消えずにいてほしかった。 繰り返すようで息が続かないけど、 肌を擦るように、 突き放すように、 掌に、 眼の裏に、 雪が降った日のあなたの声に、 裁断された風景が積もっている。 それが祈りみたいで嫌だった。 冬の輪郭を削いであなたに充てて、 それがすべてでよかったはずだっ た。 火傷のまま走り出していた今も、 抱えるように、枯れないように ずっとできたなら。 思い出すのが冷たくて苦しいから、 隠した痕も、 大事な嘘も、 きっと零れていた?
