花火の音を遠くで聴いた 八月の終わり わずかに光る 蛍の灯り ふわり舞い上がる 「さよなら」に返事もない奴だった 待ちぼうけするのもこれが最後だ 闇の中 点滅し チカチカ泣いた 僕は八月の蛍火 ねぇ、 もっと縋ってくれても良いんだよ 光って光って消えゆく 終わってしまえば優しい記憶が 何度もよぎってゆく 祭囃子の喧騒が止む 午前二時の町 提灯だけが列を成してる ぼんやりした夜 羽休め それだけの二人だった 僕はまだ 傷口が癒えないまま 闇の中 舞い上がり ゆらゆら飛んだ 君は追いかけてはくれない ねぇ、 ちゃんと好きって言わないせいだよ 光って光って彷徨う 終わってしまえば応えはないのに 何度も振り向いた ゆらゆら飛んだ チカチカ泣いた 一筋の燈と ぼんやりした夜 光って、光って、光って… もっと縋ってくれても良いんだよ 光って光って燃えゆく わかっているんだ二人の世界は ちゃんと壊れてゆく もっと詰ってしまえば良かった 光って光って落ちゆく 揺らいでつたった無数の涙を 何度も拭った夜 花火の音を遠くで聴いた 八月の終わり わずかに光る 蛍の灯り シンと今消えた