食べ切れない この料理も思い出も 少し頼み過ぎてしまったかな そういえば話したかったことは 残さず食べたなら話そうか 飲み切れない このスープも思い出も 時間をかけ過ぎてしまったかな そういえば話そうとしてたことは 残さず食べたなら言える 絲(いと)のように紡ぐ言葉が 二人辿る跡を織りなした 晴れた日の白い縫目は スープに溶かしたんだ 当たり前に繋ぐこの手は 今じゃとても君に伸ばせない いつの間にか違う想いは 二人故に口に出せずに わかってたって僕らまだ気付かない フリで 切り取った思い出を取り分けていく 並べられた料理も二人の時間も 全て含め覚えている わかってるって少しだけ 急ぐフリをして 噛み締めた思い出が 飲み込めないまま 唯 時計の音が響く 嗚呼 料理が冷めてしまう こうして明かり灯る街は 何も変わらずに流れて 暗い部屋に映る映画 コーヒーの香りと共に漂う記憶 触れぬように交わす言葉が 座り慣れた席に木霊する 雨の日の青い調べは グラスの中沈んだ 不完全な愛を並べては 未完成な夜に味わって 不顕性な日々は氷の様 愛想無い僕を映す 不健全な恋を注いでは 時間制な夜に味わって 不感症な僕は満たされずに 空腹な夢を見ていた 甘い願いは二人手を取り叶えてきた 苦い思いは二人で正しく分け合った 並べられた料理も二人の時間も 全て含め飲み込んでいく わかってたって少しだけ迷いそうに なる 噛み締めた思い出が まだ愛しいから 今 グラスの音が響いて 嗚呼 全て食べ終えてしまった