錆付いたフェンスにのぼって 街並みを眺めてみる 吸い込まれそうな景色を前に 私の全て泡になるようで 泣けた 涙で浮いたコンタクトレンズ 霞む景色 他所にして 頭の中鳴らした潮騒に どこか尊さを感じていた 願い事が1つ叶うなら いっそ消えてなくなりたい 齢十二の頃に描いていた 黄金色の夢が胸を締める 絵本のお姫様みたいな理想と 自分を重ね 「止まない雨はない」 「明けない夜もない」 そんな気休めに踊らされては 取り零した宝石 今更 拾い集めても遅いんだ 乾涸びた海へと 希望の蛻 溢れ落ちた 夕焼け空 深い朱で わたしを飲み干し 遠のく夜空 星々たちが 煌いて嘲笑う 錆び付いたフェンスにのぼって 街並みを見上げてみる 頭の中浮かんだ走馬灯に どこか憎しみさえも感じて はぐれ星に1つ届くなら 見殺しにしてください 泥水で出来た水溜りすら 私の涙を拒む気がして 絵本のお姫様みたいな 理想と自分を重ね 十二時の鐘や白い兔 そんな安らぎを追い求めては 取り零した日常 今更 探し求めても遅いんだ 不意に滲んだ嗚咽に 紅色の硝子が混ざり落ちた 取り零した宝石 今更 拾い集めても遅いんだ 乾涸びた海へと 希望の蛻 砕け落ちた 夕焼け空 深い朱で わたし色に染まり 遥か夜空 星々たちが 旅絶ちを嘲笑う 錆付いたフェンスにのぼって 街並みを眺めていた 笑みを零す自分に手を引かれ 私の全て泡になりかけて 消えた