太陽は西にのぼり 羊が空を飛んだ 嘘にまみれた僕を 人は見下した ああ 思い通りいかないのは 世界のすべてが嘘だからさ 「オオカミが来るよ」 嘘を吐いては 嗤(わら)う 愚かに戸惑う姿を嘲(あざけ)る 「オオカミが来るよ」 こんな辺鄙(へんぴ)な村に みんな食べられてしまえばいいのに 僕が初めに嘘を 吐いたのはただ君を 笑わせたかっただけ、 のハズだったのに オオカミが住んでいるのは もしかしたら僕の心かな 「オオカミが来るよ」 ホントのことで嗤(わら)う 美味しい羊はあなたたちなのに 「オオカミが来るよ」 誰も信じちゃないね もうすぐみんなも死んでしまうのに ――もう。罰は、一人でいいだろ? 「オオカミが来たよ」 慌てる人の波に 僕は君の背をそっと突き放す 「先に逃げていて すぐ君に追いつくよ」 それが少年の 最後の嘘だった ずっと君のこと、大好きだったよ それは少年の……