実りの稲穂もない 山の端もみわたせない 冬にのぞく小さな富士山 夕空に浮かぶ東京タワー 何かが足りない そんな気がしていた こことはちがう場所がよくて ここ以外ばかり憧れていた 柿の木坂 坂をのぼればほら もうすぐたどりつくは育った家 小さな鳥居を過ぎてあと少し 和菓子屋さん横目に歩く道 いつもの景色も 毎日かわってく 気づいた頃にはもう様変わり 素直に生きると だれかを傷つける 伝える術ももってなくて 上を向きながら歩いた夜 鈴虫 キンモクセイ 時間はいつだって 先を急ぎ置いてかれる 背中を追ってた息を切らして 柿の木坂 坂を下ればほら どこへでもいける 向こうにもいける こんなにもすべてそろってる場所は どこをさがしてもみつからなかった 柿の木坂 坂をのぼればほら もうすぐ辿りつくは育った家 あの庭にあった 柿の木柿の実 たわわに毎年実っていたけど 眺めてただけの 柿があった家 坂の上にあるわたしのふるさと 坂の上にあるわたしのふるさと