彼は誰に目覚めた。 純白の病室、花の香り。 華奢すぎる身体は、 運命を待っている。 「せめて、傍に居てほしいんだ。」 「それじゃあ。また会えるよね?」 なんて、 言いかけて、飲み込んだ言葉。 痛ましく、微笑むその顔に、 目を伏せてしまう。 叶わない願いだって、 願うだけ無料だろう。 ちょっとでも長く、 手を握れるように。 私の一切合切、あなたにあげる。 だから、 一人では泣かないでほしい。 二人だけの時間、過ぎる歳月と、 次第に増えていく、 消えそうな祈り。 取り留めない話も、 「幸せだよ」と、君は言うね。 いつまで、 このままで居られるのかと、 考えちゃう頭が嫌い。 わざとらしく伝えるように、 差し込んだ夕の光。 本当なら、 いつまでも隣にいたいのに。 どうして、あなたは平気を装うの? と、言いかけた時、涙が落ちた。 割り切れない思いは、遂に溢れて お互いの心、抱き寄せられていく。 お揃いだって誓って、 指切りをした。 残りわずか、躊躇ったままで。 二人は一つずつ、清濁を併せ呑む。 切り離せない。 大事だったことは、 どうにも掬えず。 絡まり合った指を、 解けないままで。 「いかないで。」漏れた言葉が、 宛もなく爆ぜた。 私の一切合切、あなたにあげる。 だから、泣く時もいつも一緒だよ。 忘れないようにと、 そっとキスした。 二人だけの、お揃いの呪い。
