扉もなく不自由もない 御屋敷でせっせ籠を編んでいたの そろりと壁を探ると 細い網に遮られて止まった そして 時は過ぎ 籠は鳥に問うた 中の居心地、どうですか デタクハナイノ? ぼくたちはいま 鍵のない戸を壊し 旅に出た ぼくたちはもう 二度と振り返らない あのざわめきも あのまどろみも 羽根を広げる時まで 築いた積み木の家は くしゃみ一つで壊れる事もある レールの袂ちょん切るナイフの刃は 玩具だったりする そして 時は過ぎ 鳥に知恵が出来た 中の居心地、どうですか セマクハナイノ? ぼくたちはいま 小鳥を森に放つ 旅に出た ぼくたちはもう 二度と振り返れない あの鳥籠も あの狭い巣も 鍵を見つける時まで かごのなかのとりを みわけられるはずがないのに おりのなかのひとは みわけられるかしら かしら ぼくたちはいま 鍵のない戸を壊し 旅に出た ぼくたちはもう 二度と振り返らない あのざわめきも あのまどろみも ぼくたちはいま 小鳥を森に放つ 旅に出た そしてこの瞳は 二度と振り返らない あの鳥籠も あの狭い巣も ぼくたちはいま