Track byamaitopina
消されるべきものはなに? 扉と窓ばかりに囲まれた部屋で わたしはいつも 特別な目の開き方をする 通り過ぎてきた時間が 中空の棚で展翅される 指先についた鱗粉を拭っては 心がふいに浅くなった、 と感じている 切れている線の断面が かすかな音を立てる 夜の中でその発振音に 気付くとき 記憶はいつもその左側に とどまっている どんなふうに それを忘れてきたか わたしは決して思い出さない