震(ふる)える 唇(くちびる)と言葉に ならぬいくつもの声 頬(ほほ)を伝うは 無数の雫(しずく) 最後の言葉を口に出せず とまどうあなたに あたしができることなどないの 心強くあると 信じたあたしの胸の中は 壊されてしまい いつも傍(そば)にあると 信じたあなたの心は 今はここには無い 溜息(ためいき)混じりの 雨があたしを叩(たた)く 扉(とびら)の向こうはもう 一人(ひとり)の世界 肩を包む 温(ぬく)もりが傷を抉(えぐ)る 今宵(こよい)の涙は 全て雨に変わるわ 一度だけ くちづけて 一度だけ 握る手の平(ひら)はいつもより ほんの少し冷たく 掻(か)き乱された 想(おも)いは熱く 冷静な振りをするあたしを あなたは見透(みす)かす その優しさも時には罪ね 「夢の中で逢(あ)える」 信じるあたしの思いは 虚(むな)しさを誘うだけ いつも愛してると誓った あなたの言葉に 曇(くも)りはなかった あの日の記憶も 消えてしまうでしょうか 傷のない恋など ないのでしょうか 壊れた恋は偽物(にせもの) だったでしょうか 何(なに)よりそれも 一(ひと)つの愛なのでしょう 一度だけ くちづけて 最後まで くちづけて あたしはあなたの胸の中に 小さく埋もり 絶えることない涙を知る