夕雲を見る間もなく 紺藍の空を 見上げて帰る街路樹 ふと足元を見たら 紅葉が綺麗で 吹き抜けていく秋風からは 暖かい匂いが 秋を纏って 秋を纏って 秋を纏って 焼けた肌や燻んだ髪が 心地よさそうにしています 失くした牡丹ひとつを 色違いにした 外套の袖に腕を通して お茶目な着こなしさえ 躊躇わないで 厭りな道この季節は 風変わりで 秋を纏って 秋を纏って 秋を纏って 埃被った姿見が 愉しく映してくれます はしゃぎすぎた日々と橙の空 優しい夜が包む ぽつんと街灯ついて 静けさ薫る街が みったくない姿を 偏屈だと責め立てずに 隠してくれてる 秋を纏って 秋を纏って 秋を纏って 銀杏並木が揺れながら ご機嫌にささやいています