駅からはてしなく遠い だだっ広い道をひたすらに歩く 歩きながら思った たどりついて会えた時より 今の方が たぶん“会えてる”に近いんやろう 合ってるか分からず 心細くなった時 迷いながら思う たぶん 振り返ると 今歩いてるこの道が 一番あとになって記憶に残る それらしき屋根が見え 曲がり角を曲がる いよいよ会えるっていう直前 空がやけに広くて 何故か “さよなら”と感じた 墓石の上に置かれた 小さなひこうきの模型は 人は死んだら歳をとらん 象徴のように 悲しくたたずみ ひっそりと胸を詰まらせた 頭に浮かんだ やさしくほほえむ表情は その模型で遊ぶ 小さい頃の友人ではなく それを見守る 今もここを訪れているであろう 若かりし日の父だ 墓石を力強く手で洗っている時 この世とあの世の線を 引いているように感じた 「あの世からでもこの世に 触れんねんで?」 そう言わんばかりに その反動であがった水しぶきが 色を変えるぐらいに 服を濡らした