今日からは 赤い爪 あなたに 見せない すき透る 桜貝 あなたの好きな色 一日に 二本だけ 煙草を 吸わせて 珈琲の 昼下がり あなたを待つ夜ふけ 群れから はなれた 男と女が 小羊みたいに 肌寄せあって どこかで忘れた 青春のかざりもの さがしているような 東京物語 夏が過ぎ 秋が来て もうすぐ 木枯し この冬は あたたかい あなたがいてくれる 何もまだ 約束は したわけ じゃないが 春までは このままで くらしていましょうね どこにも いるよな 男と女が ふとしたはずみで 声かけ合って たがいに似ている さびしげな目の色を 見つめているような 東京物語 東京物語