窓の外 幾つもある 小さな鉢植え 君が育てた庭 訪ねてくる 小さな生き物 待ち侘びている トトと名付けた猫 丸いテーブル くたびれたソファー カーテンは薄く 光を透かす白 トースターに電子レンジ 炊飯器も無い 生ゴミは捨てず 庭に還した 今年の夏も バジルが育つ 毎日食べても 追いつかない 遮るものの無い 南西の空には 満月の夜 月明かりが嬉しい 秋はとくに 嬉しい 僕の落書きと 君の絵が 壁紙の白に 鮮やかに咲いた 寒い朝でも 君は窓をあける 布団にまるまるトト 僕もまだうつら ララララララ 長い廊下を 走り回る トトを呼べば 馬のステップみたいに響く トイレに貼られた 二人の予定 二人の知らない 二人が並んだ 中央線 遠くを行く 夜と朝には ここまで届く音 窓の外 素足で歩ける ここへ来てすぐ 僕が作った庭 この家を出る朝 何を思うだろう 二人と一匹 何を思うだろう 何を思うだろ