ふわり、紙の匂いがした しおりを挟んだのはついこの間 ふわり、髪の匂いがした 時を留めるしおりがいつしか抜け 落ちていた この話は唐突に終わり告げた 読みかけのショートショートが うつろう君を描く 見つめ合うこともせず 最後のページめくる二人 冷たいショートショートは 静かに幕を閉じる 吹き抜ける淡い風 夢から醒めてしまうようで 苦し紛れに放った矢 君の耳には刺さらない 白紙のページにあの日の面影を 探した 儚く揺れた この話は唐突に終わり告げた 終わりかけのショートショートが うつろう君を描く 見つめあうこともせず 最後のページめくる二人 冷たいショートショートは 静かに幕を閉じる 僕を呼ぶ君の声取り 残されてこだまする 二人顔を近づけて弱音を吐きあった そんな微睡でさえも いまは昔のように ショートショートが いくつも夜を跨ぐ 見つめあうこともせず 最後のページめくる二人 冷たいショートショートは 静かに幕を閉じる 僕を呼ぶ君の声 不意にどこかで聞こえた気がした