影法師が伸び 遅くに沈む残照に溶けた すぐ横で黙る君との距離さえ 曖昧になる 「じゃあ来年こそ行こう」って 約束した時 寂しそうな返事で気づいた これが最後の夏だとわかって連れ 出した 二人で花火を見に 空に舞う彩が眩しくて 秘めていたこの想いをかき乱す 無邪気に笑う顔が焼きついて 忘れられなくなる 息も鼓動も聞こえるくらい 近いはずなのに 知り合えたあの頃よりも 遥か遠くに感じる ここに来る度にきっと 思い出すだろう 同じ夏はもう来ないことを 忘れたくて胸の奥にしまい込んでも いつか取り出すことも 空に響く音色が鮮やかで 云いかけたこの言葉を打ち消す 伝えたら夢が覚める気がして ただ君を見ていた ”このまま終わらないで”と 願うほどに 繰り返す記憶は あの日の陽炎 逃げるように帰り道に踏み出した わたしのこの手を掴んで 止めてくれたのは… 夜に咲いた花火を振り向いて 抑えてたこの想いも溢れる 色褪せない日々に別れを告げ また会える時が来ればいいと 触れ合った視線が滲んでゆく 泣いてるのか笑っているのかも 分からないけど離れないように 強く手を握った