薫る風 巡る 青葉 今年も緑道を染めた その眩さに目を細めて 滲むシャツの袖をまくった 園児らは影を抜けて 人差し指の先へ 意味なんて考えなくても きっと歩けてたのに 押し寄せたきらめきや 痛みはもう懐かしい そんな日が来ると知らず 夏を急いでた 惑いながら 空を 指差したわけは どこかでまだ 自分のこと 信じてるからかな 衒いもなく 夢を語れなくなっても 陽の光は いつだって同じように今を 照らしてくれる いつまでも残る歌は 小さな木漏れ日作って なくしたつもりの過去達も 不意に触れてくるよう あきらめや後悔は 古い友達のように 進めずにいる背中を そっと押している 季節がまた回って 生まれ変わるのは またどこかで会えるように 思い出せるように いつかと同じ呼吸で 歌えなくなっても 気づかないまま受け取った光を 僕もまた 運んでくんだろう 生まれたての空へ 手をかざせば ほら 胸の奥で ひとひらの青い葉が芽吹いた 体中で 息を深く吸い込んだなら 陽の光が 照らし出す この道の先へと また歩き出す