蝉の声 遠くで 踏みつぶした 抜け殻の音を 死骸は 空気に触れ 哀しい匂いを撒く 夏の太陽 やがて あの日の月と 比例する 冷たい熱帯夜 心だけが凍る 笑った顔が揺れる 蜃気楼の果て 気温 湿度 空想の中 焦げた肌に残る傷跡 そして夏の終わり 満ちた言霊 もう見えない 小さな夢食い また会えるかな? 夏が来たら 聞こえないフリをしたサヨウナラ 蚊帳の外 煙さえ 渦を撒いた 枕返しと 掌 滲んだ 紅く晴れた結晶 錆び付いた 無人バス 秘密基地は 夜を越えて 鉄道を 走って行く 物語の様な 遠く泣き崩れた声 最終回という結末 樹木に託す儚い思いを 何時か開ける時が来るまで 待て… 百鬼夜行のパレードの中で 繋いでた手と手 ずっと離れないあの約束を 祭囃子が書消したら… また夏の終わり 満ちた夜の底で 泣き言遠く響かせた 花火が咲いた すぐに消えた また会えるかな? 夏が来たら…