心は主(ぬし)さん一人のものと 誓った瞬間(とき)から ここも極楽 珊瑚(さんご)のかんざし 重たくて 会釈を返すも ままならぬ 主さん来ぬ日は 鴉(からす)でさえも 好かんと鳴いて ご機嫌斜め 花魁道中(おいらんどうちゅう) 吉原(よしわら) 外八文字(そとはちもんじ) 禿(かむろ)の髪にもはらはら 花びらが舞う 男に二言はないと言った 言葉を信じて あかりが灯(とも)る 「裏切りっこ無しでありんす」 夜更けに紅(べに)差す 生業(なりわい)も 不幸せだとは 思わない 主さんに会えた そのことだけを 後生(ごしょう)大事に 抱きしめて寝る 後朝(きぬぎぬ)の別れ どんなにやるせなくても 交わした契りの深さで 生きてもゆける 心は主さん一人のものと 誓った瞬間から ここも極楽 「恨みっこ無しでありんす」