AWA
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  • 2023.04.29
  • 8:21
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歌詞

妹「お父さん……うぅ、 お父さん……」 姉「いい加減泣きやみなさい」 妹「姉さん……。 だって、お父さんが……」 姉「あんな 人のために泣かなくていい。 死んでせいせいしたくらいよ」 妹「姉さん!なんてこと言うの!」 姉「あの人が一度でも 父親らしいことをしたことがあった ︎?私たちのことはまるで 無視して、 遊び歩いては母さんを 泣かせたじゃない!」 妹「でも、 昔は優しかったでしょう? 確かに会社が 成功してからお父さんはおかしく なってしまったけど……」 姉「お金は人を狂わせるのね。 あの人の取り 柄はお金だけだったわ」 妹「そんなのひどいよ姉さん……」 姉「……さあ、 私たちもお金の話をしましょう。 これがあの人が残した遺書よ。 遺産の分配についてでしょうね」 妹「遺産なんて……そんなもの 私は……」 姉「いいからもらっておきなさい。 慰謝料みたいなものよ。 ……でも、 あの人のことだから下手すれば隠し 子が何人もいるかもしれない。 私たちですんなり 二等分できるといいんだけど」 妹「か、隠し子……?」 姉「中を改めましょう。 ……ちょっと待ってて。 封筒を切るハサミを取ってくる」 妹「……ふふふ、バカな姉さん。 お父さんにあんなに反抗的だった 姉さんとずっと良い子ちゃんを 演じていた私が 二等分なわけないじゃない。 お父さんはきっと私の方にたっぷり 残してくれるはず。 それに……隠し子ですって? 今更何を言ってるんだか。 私はちゃんと調べてある。 確かに何人もいたけど…… 不思議ね。 揃いも揃って 悲しい事故に遭っているなんて」 姉「お待たせ。 じゃあ開けましょうか」 妹「うん」 姉「読むよ。えっと……。 『私の死後、 私の財産は下記に定めた通り 分配する。 長女、私が所有する全財産。 以上』」 妹「……え?」 姉「……隠し子いなかったのね」 妹「私もいないんだけど!」 今は亡き父の意志 残された遺書はあまりにも不平等 争いは避けられない いざ骨肉の争いへ 妹「ねえ私のことは︎!?」 姉「か、書かれてない」 妹「そんなはずないよ!見せて!」 姉「必死ね。 あなたさっき 『遺産なんて』って 言ってたじゃない」 妹「あっ! で、でも、 いくらなんでも 何にもないのはひどいよ。 私のことはどこに……あ!あった! 裏側に!」 姉「え︎!?何であるのよ!」 妹「あっていいの! ほらココ! えっと、 『長女は相続した財産で 次女に ワサビーフを4袋買ってやるこ と』。はぁ︎!?ワサビーフ!? 安いにも程があるでしょ!」 姉「コンビニ行こっか」 妹「行かないよ!」 姉「まあまあ落ち着いて。 素直に従いましょうよ」 妹「従えないよ! お父さんの全財産って、 60億くらいあるんだよ︎!?」 姉「マジ︎!?やった!」 妹「喜ばないでよ! 1人で受け継ぐには 大きすぎるんじゃない? 半分でも莫大なお金だよ?」 姉「え? ……あなた、半分取りに来てない? 興味なさそうだったのに」 妹「だ、だって、 お父さんを嫌っていた姉さんが 相続するのは納得いかないし……」 姉「ねぇ、覚えてる? 昔父さんと 遊園地に行った時のこと……」 妹「急にそっちのスタンス 取らないでよ!さっき 『父親らしいことしてくれなかっ た』って言ってたじゃん!」 姉「本当に惜しい人を 亡くしたわね……」 妹「私は認めないから! 私は姉さんと違って会社も 手伝ってたのに!」 姉「そういえばあなたは会社を受け 継ぐんだから 別に遺産なんかなくても 困らないじゃない」 妹「遺産の大部分は 会社の株なの!ってことは会社も 姉さんのものってことに……」 姉「私社長になれるの︎!? よ〜し、私に逆らったらクビね♡」 妹「すごいなこの人!」 姉「もう諦めなさいよ。 この遺書はちゃんと 専門家に依頼して 作ってあるんだから。 逆らうことはできないの」 妹「今までの努力が水の泡だ……」 姉「さ、早くコンビニ行こ?」 妹「ワサビーフはいらない! ああもう!遺書もう一回見せて!」 姉「めちゃくちゃ必死じゃん……」 妹「あっ!」 姉「どうしたの?」 妹「……姉さん、 遺書にはこう書いてあるね。 『私が所有する全財産』って」 姉「それがどうしたの?」 妹「棺の中の父さんを見たでしょ? ……お父さんは、手ぶらだった!」 姉「いや、 所有ってそういうことじゃないで しょ︎!? 棺の中では人は大体手ぶらだよ!」 妹「パンツくらいは 履いてるでしょ!」 姉「死体からパンツ 剥ぎとれっての︎!?」 妹「この遺書ではパンツ 以外の財産については 指定されていないことになる! なら他の財産は二等分が妥当! パンツは姉さんが独り 占めしていいから!」 姉「妥当じゃない! パンツもいらない!」 姉「これ以上グダグダ言うなら 本当にクビにするよ︎!?」 妹「私はクビになったって 構わないもん」 姉「え?」 妹「あの会社は私で 持っていたようなものなの。 どうしてお父さんの会社が 急成長したかわかる? ……私が邪魔者を 消してきたからよ!」 姉「まさかそこまで 怖いとは……!」 妹「私がいなくなれば会社の株価は 確実に暴落するよ。 姉さんが相続する 遺産はただの負の 遺産になるでしょうね」 姉「あの手この手を 使ってくる……!」 妹「地獄に突き落としてやる!」 姉「あんなに良い子だった妹が! ……まあでも、 あなたが辞める 前に株売っちゃえばいい話よね」 妹「そこまでして遺産が 欲しいの︎!?守銭奴め!」 姉「あんたには言われたくない!」 妹「もう……どうすりゃいいの… …? 封筒貸して! 他にも何か 入ってるかもしれないし」 姉「もう諦めたら?」 妹「あっ!」 姉「どうしたの?」 妹「もう1枚入ってる!」 姉「え︎!?」 今は亡き父の意志 残された遺書にはまだ続きがあるの 何であれ負けられない いざ骨肉の争いへ 妹「えっと、 『1枚目に書かれている内容は 嘘だ。 『本当は二等分が良かったが……。 もし1枚目を読んで長女が 素直に受け入れ、 かつ次女が抗議した場合、 どっちも普段の行動と違いすぎて 信用ならない。 よって、 私の所有する財産は全て 慈善団体に寄付する』」 姉「はぁ︎!?」 妹「『ちなみに、 この封筒には盗聴器が 仕掛けられており、 遺書の作成を依頼した 弁護士が2人の会話を 聞いている』」 姉「えぇ︎!?」 妹「ね、姉さん……」 姉「やばい……。 今までの 全部聞かれてたってこと?」 妹「…………姉さん! いやー、今日も見事に決まったね! 私たちが作ったショートコント 『姉妹喧嘩』」 姉「……あ! そ、そうね! 迫真の演技だったじゃない!」 妹「姉さんこそ! あの切り替わりっぷりは キングオブコントでも 通用するよ!」 2人「はい! ♪ジャンガジャンガジャンガジャン ガジャンジャジャンジャジャ〜ン」 妹「……無理かな」 姉「無理ね。 あなたに至っては 逮捕されるんじゃない?」 妹「か、 肝心なことは言ってないし、 この弁護士を抱き込めば……。 あっ!」 姉「どうしたの?」 妹「……弁護士さん。 聞いているんでしょう? あなたもそれなりの 依頼料をもらっているんでしょう が、それだけで満足ですか? 10億ほどお支払いしたら 黙っててもらえますか?」 姉「この子本当に怖い……。 でも今はそれが頼もしい……!」 妹「ですが弁護士として依頼を 受けた手前、 内容を 無視するわけにはいかないでしょ う。だからこの遺書は 忠実に守ります」 姉「え︎ どういうこと︎!?それじゃ──」 妹「ただし、 『私の所有する全財産』 の解釈を変えた上でね。 姉さん、棺の中の父さんは?」 姉「手ぶら! せいぜいあるとしたらパンツ!」 妹「そう! 全財産=パンツとした上で遺書を 忠実に守れば、 残った遺産は私たちのものだし、 弁護士さんも業務上問題なし!」 姉「随分やばい遺書を残した 父親ってことになるわね……」 妹「お父さんは『自分が履いてる パンツを半分に分けて 姉妹に分配したくて、 それが叶わないならそのパンツを 慈善団体に寄付したかった 人』ということになるね……」 姉「頭おかしいじゃない!」 妹「あんなクソ親父がどうなろうと 構わないでしょ?」 姉「案の定あなたもそう 思ってたのね」 妹「このままじゃ2人とも 何ももらえないんだし、 協力しようよ姉さん」 姉「ええ。 本来の財産は弁護士への口止め料を 引いた後で 二等分ってことでいい?」 妹「もちろん。 じゃあ、遺書を見返してみよう。 1枚目は姉さんに全財産、 つまりパンツを相続させた 上で……。 その財産で 私にワサビーフを4袋買う」 姉「ムズ……!」 妹「コンビニに行く?」 姉「無理でしょ! 死体が履いてる古ぼけたパンツで ワサビーフは買えない!」 妹「あんなに安っぽく思えた ワサビーフがとてつもない高級品に 感じる……!」 姉「あ。 でも、 1枚目は守らなくてもいいんでしょ? 1枚目を私が受け入れて、 あなたが 抗議したってことにすれば」 妹「それだと 姉さんが 『死体のパンツでワサビーフを 買うことを受け入れた 人』ってことになるけど」 姉「私も頭おかしいな︎!?」 妹「流石に同情する……」 姉「あなただってどうしても パンツが欲しくてごねた 人ってことになるじゃん」 妹「最悪……」 妹「めげずに2枚目の方を 確認しましょう」 妹「うん、えっと……、 『パンツは慈善団体に寄付する』 ……」 姉「こっちもムズ……!」 妹「あ、でもこれも解釈次第だよ! お父さんはどこに寄付するかを 明記してないから、 ……私たちが慈善団体を 作ってそこに 寄付するだけでいいかも」 姉「なるほど! でもパンツを欲しがる慈善団体って 何?」 妹「『パンツの人権を守る会』 ……?」 姉「いや、 パンツに人権はないでしょ!」 妹「でもそれくらいイカれた 団体じゃなきゃおかしいよ。 姉さん、一緒に作ろう?」 姉「し、仕方ないわね。 苦労も二等分ってことで」 妹「ありがとう姉さん。 これで私たち大富豪だね。 世間の目は冷たいだろうけど……」 姉「……皮肉なものね。 あの人がお金でおかしくなってし まった気持ちが、 今ならわかる気がするわ」

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