あっけなく焼け落ちた夕日 夜空が今日一日に蓋をする 帰りそびれた海鳥がひとつ 影絵のように立っている 果たせないことを知っていながら 交わした約束 仇で返すことになると わかっていながら受けた恩 黙る海 黙る海 こすり傷だらけの面影を背に乗せて 黙る海 黙る海 寄せず返さず黙る海 "踵を返す"もなにもない "行く"もなければ"戻る"もない 強いて言うなら遠く遠く 忘れ切れるほどに遠く遠く 胸に遺るあなたの手のぬくもりは ときにか弱いお守りのように ときに抗いようのない呪縛のように 丸い月 丸い月 やせた足音が踏みつけた旅の先 丸い月 丸い月 野良犬に吠え返す丸い月
