9月の海に浮かんだ寂しさを きみは指で摘んだ 夏の喧騒 忘れるために ぼくら雨降りの道を歩いた 波の音 乾いた砂を踏む ここに来ることはもうないだろう きみの髪が揺れて風が 吹いてることに気付いたんだ まるで映画のなかさ 金木犀が咲いたら もうお別れだね 濡れた睫毛が光っていた 話がしたい歪んだ本音を ぼくにだけは零して 飽きが来たって ぼくらの夏は 消えないままここに置き去りに 夜が更けて悲しみがつのる 夏のにおい かき消されていく きみの目が遠くを見つめている 青く光る夜光虫の海 ああ寂しくなんかないのに わかってる、わかってるさ ぼくらの生きる未来は分かれ道の先 手をほどこう かばんの底に渡し損ねた手紙 丸まっていた 想いは残る 愛の言葉は 波にさらわれて消えていけ