愛を知る前には聞こえていた この世の全てのこだまやらが 人の世に散る卑き言葉が 曇りなく響く私の内で 愛を知る前には彷徨っていた 甘く囁く人の合間を 私を包む体にもたれ 乗りこなしてきた虚しき夜を あなたと出会う日まで 無駄に過ごした若さある時を あなたがくれた時間は眩く光る目を 細むほどに 時計の針が 止まるように記憶に焼きつく 琥珀色をしたままのあなたの面影が 愛を知る頃は戸惑っていた あまりに正しき生き方に あなたが照らす導きの道を 足をすくめど辿った生きた あなたには言えぬまま隠し通した 私の悪癖 あなたを騙したまま貫き通した 善たる私を 綺麗な体見せかけて美しくありたい 琥珀の中へ閉ざした私の醜悪を 永遠の約束が後ろめたさとして私を 苛む 心の内に潜む深き愛なる美しき檻 私の虚なこの肩を掴んで離さない 琥珀色に留まってるあなたの横顔が 今も あなたの頬へ近寄った あの夜の姿は忘れまじ