手を伸ばしたら失いそうで、 ただ、見つめる。 か細く、白んでいた。 変わらぬまま、揺蕩うまま、 吐いた言葉。 綺麗なうち、 忘れないよう。 相燻らす様にただ塞ぎ込んだ、 私の視線裂いて、 微笑う其れは 未だ見知らぬようだった。 哀憎抱いて磨いた思想が、 凪いだみたいに抱いて生き急いで。 私を枯らす。 あいしたまま仕舞いこんで、 時を止める。 霞み、傷まぬように。 「私だけ、忘れないでいて。」 叶わなくてもいいから。 相燻らしていたのを思い出して、 私、とうめいだった。 と微笑う其れは 未だ見知らぬふりをした。 哀憎抱いて磨いた思想を、 大事に抱いてそれでも生き急いで。 風化したようだった。