一目見たときから どこか懐かしい気がしていた 長い睫毛 潤んだ湖のような瞳 「庭に落ちたボール 取らせてください」 と少女はなぜか素足で扉の前に立つ リリアン もしかしてあなたなの? リリアン 私の膝で冷たくなった 「とても好きだったよ。」 ふとあなたはそうつぶやいた 物心ついてから どこへ行くのも一緒だった 綿毛みたいに 真っ白い子犬 恋に傷ついた日も 目も見えなくなっていたけど 涙で濡れた頬 舐め回して笑わせた リリアン 夢で呟いた朝 リリアン 私が家を去るその日に 「名前は?」と尋ねると はにかんで笑い 走り去った 転がったボールには たしかにあなたの名前が リリアン 可愛い 小さな天使