いつものように誘う男の子 誘われる方「今日はやめとこう」 パーカーの紐 引っ張って抜けてしまう ここのところ友だちは友だちと 言えるか分からないくらい 言葉少なかったり 多すぎたり 出会いがしらのあなたのやさしさ これがなんなのかいつまでも ちゃんと確かめたくない そういう夏は はなしかけても わたしのそばにはもういない 前を向けば海 眩しさにまばたき 波間のかがやき ひかってやまない意味はなに 聞いてみたいけど あの日のように こたえる夏はもういない いない つぎは秋 自転車はとっくにあの子のもとに 今はずっともっと遠くに行ける あなたの背中くっついてたら どこかに着く この1秒の長さに酔う あちこちあまりにも揺れる 手を離したり 離さなかったり あなたの傷つくことを言う人の 前に立つ なげやりだと怒らない そのさびしさに たちつくす夏の 肩をゆすっても 影の縁を濃くしてばかり 世界の温度を 夕立が奪って歩く 思い描いてた約束は青白いかげろう 呼び止める声に あの日のように ひびく夏はもういない いない いない わたしはすこしほほえんで 肩を腕に抱く あたらしい季節が生まれたのに 浮かれている また飽きもせず 音の鳴るほうに耳をやる 忘れられないことが太陽に 隠れた隙に駆け足で 走って走って行く